犬の病気
犬の皮膚病で困っている方やこれから皮膚病を予防していく愛犬家様のために。
子犬というのは、成犬に比べて病気に対する抵抗力が少ない分、病気に罹る可能性も高く注意が必要です。ほぼ全ての動物が、赤ちゃんの時期の死亡率が最も高く、危険な時期である事は犬も例外ではありません。また、環境が変わる、飼い主が代わるといった時期も重なる事から、子犬を購入後は特に注意が必要です。また高年齢期の犬に対しても注意が必要です。
犬の予防接種
- 犬ジステンパー…発熱、下痢、神経症状などが起こり、全身がおかされ、治ってもいろいろな後遺症に悩まされます。死亡率も高く、怖い病気です。
- 犬アデノウイルス2型感染症…アデノウイルスによる感染症で、肺炎や扁桃炎など呼吸器病を起こします。
- 犬伝染性肝炎…こちらもアデノウイルスによる感染症で、肝炎を主とし、嘔吐や下痢、食欲不振などが起こり、目が白く濁ることもあります。子犬では突然死することもある怖い病気です。
- 犬パラインフルエンザ…パラインフルエンザウイルスによる呼吸器病で、咳や鼻水、扁桃炎を起こします。アデノウイルスや細菌といっしょに「ケンネルコフ」と呼ばれる犬のカゼ症候群を引き起こします。
- 犬パルボウイルス感染症…血液のまじったひどい下痢や嘔吐を起こす腸炎型がよく知られていますが、子犬に突然死をもたらす心筋型もあります。伝染病が強く死亡率も非常に高い怖い病気です。
- 犬コロナウイルス感染症…腸炎を引き起こす感染症です。下痢や嘔吐が起こります。パルボウイルスと混合感染すると症状はいっそう重くなります。コロナとパルボをいっしょに予防することが大変重要です。
- 犬レプトスピラ病…黄疸出血型 カニコーラ型 人と動物の共通の、細菌によって腎臓や肝臓がおかされる怖い伝染病です。色々なタイプがありますが、代表的なのは歯ぐきの出血や黄疸がみられる黄疸出血型と高熱、嘔吐、下痢を起こすカニコーラ方の2種です。アウトドアで活躍する犬ほど感染しやすいので予防が大切です。
- 狂犬病予防法について…飼い主には、狂犬病予防法で狂犬病ワクチン接種が義務づけられています。生後91日以上の犬は飼い始めてから30日以内に1回、その後は毎年1回注射を受けなければなりません。また、交付された注射済票を必ず犬につけておかなければなりません。(上記ワクチンには狂犬病は含まれていません)
犬の皮膚の病気…皮膚病
- 皮膚病とは、大きく分けて、4種類あります。バイキンによる細菌性皮膚病。ダニなどの寄生性皮膚病。カビを原因とする皮膚病。そしてそれら以外の、アレルギー性皮膚病、または内分泌異常や腫瘍などを原因とする皮膚病があります。
たとえば、寄生性皮膚病の代表にあげられるのが「毛包虫症(もうほうちゅうしょう)」です。これは、動物の毛穴に棲みついた何十匹もの小さな寄生性ダニが原因となる病気で、好発部位は腕や顔、足などに出てきますがひどくなると全身に広がる事があります。多くの場合、非常に強い痒みが生じ、犬はしきりに体をかいたりかんだりするようになります。そうすることによって皮膚にかき傷ができたり脱毛になったり、またこれに細菌の二次的感染が加わると皮膚の状態はさらに悪化してしまいます。 しかし、最初に処置を誤って、ステロイド(副腎皮質ホルモン)系の薬を使うと皮膚病が進行しその後、毛包虫症に効く殺虫剤をいくら使っても治らないという事になります。
微細なこのダニは、子犬のとき乳をまさぐる母親の体から移ったりします。ダニを移された子犬が、数ヶ月から何年も後になって、体力の衰えたときに発病するケースが多くみられます。
いわゆる、時限爆弾のような皮膚病という事です。
皮膚病にかかるときは、犬の体力が落ちていたり、日頃の健康管理が悪くなっていることが多くみられます。シャンプーの石けんや洗剤が皮膚炎の元になる場合もあります。シャンプーは汚れのひどいときだけ使い、普段はゴミやほこり、バイキンなどをとり除くために毎日濡れタオルで体をふいてあげてください。 皮膚病になる原因として食生活管理にもあります。栄養バランスのいいドッグフードを、あまりブランドを代えずに与えるようにしてください。健康管理は薬に頼らず栄養バランスをしっかり考えた食事からです。
生殖器の病気…子宮蓄膿症
- 子宮蓄膿症とは簡単に言えば子宮が細菌に感染して炎症をおこした結果、子宮の内部に膿がたまる病気です。
子宮が広い範囲にわたって炎症をおこすため、犬は水をたくさん飲むようになり、尿の量も増えます。子宮の内部に膿がたまるので、腹部が大きくなることもあります。症状がさらに悪化すれば、子宮が破裂して膿が腹膜内に飛び散って腹膜炎を起こしたり、病原菌の毒素が体内に回ってひどい腎臓障害や多臓器不全、敗血症を引き起こして死に至ることもあります。子宮蓄膿症は、中高年齢期のメス犬の要注意の病気の一つです。
子宮蓄膿症は外科手術によって子宮を摘出するのが原則です。子どもを産ませるつもりであれば、黄体を減らす働きがあるプロスタグラジンなどのホルモン剤を投与して治療することも可能です。 子宮蓄膿症の最善の予防策は、避妊手術です。若い時期に適切な避妊手術を受けていれば、子宮内膜炎や子宮蓄膿症などの子宮感染症にかかる恐れは全くありません。そのうえ、一歳になる前の初回発情前後に、避妊手術をしていれば、乳腺腫傷の予防に役立つことになります。
内分泌・代謝性の病気…糖尿病
- 人間の糖尿病と同じで犬の糖尿病も血糖値をコントロールするインスリンが不足してしまう事が原因な病気です。遺伝的な体質もありますが、犬の場合は肥満や妊娠、すい臓が弱まっていることがほとんどの原因です。
主な病状としては、多飲多尿、食欲は旺盛なのに体が痩せてくる。また病気が進行すると、目に白内障がでることもあります。
治療は、病気が軽いときは食餌療法と定期的な運動で肥満を解消させることができますが、病状が悪化するとインスリンの注射や避妊手術などを行う場合もあります。糖尿病は発見も困難ですが、発病すると完治が難しいです 。
循環器の病気…僧帽弁閉鎖不全
- 犬の僧帽弁閉鎖不全には、主に僧帽弁(左心房と左心室の間にある弁)と、それを支持する腱索(アキレス腱のようなもの)が障害されることによって起こる病気です。
マルチーズやシーズー、ポメラニアンやキャバリアなどの小型犬が中高年期(とくに7、8歳)以降、ゴフォ、ゴフォ、あるいはハウ、ハウ、と気になる咳をしだしたら、動物病院で心臓の精密検査を受けた方がいいです。間違っても軽く風邪だと思わないでください。
僧帽弁閉鎖不全は、だんだんと症状が重くなって心臓が大きくなると、気管支が圧迫されたり、肺の機能が低下して散歩中に肩で息をするようになり、休むことが多くなります。また、血流が悪くなり、興奮したり運動すると、貧血状態になって、足がふらつき、頭がもうろうとして倒れたりしてしまいます。このような呼吸やあえぐような呼吸が安静時や深夜の就寝中に起こることがありますので要注意です。
動物病院では愛犬の病状を確かめながら興奮させないように、強心薬や、利尿剤、血管拡張剤など内科的治療を行います。また血圧を下げたり、心臓の筋肉が拡大するのを抑えたりします。心臓の保護薬を毎日投与して、病気の進行を抑える治療をおこなっていきます。 まずは5歳を過ぎたら定期検査を受けましょう。
目の病気…角膜炎・白内障
- 角膜炎はケンカ傷などの外傷から起きたり細菌が付着・ウイルスの感染・結膜炎が悪化して起こったりします。手遅れになると、角膜に穴があいて中身が飛び出してくることがあります。
まつ毛やシャンプーが目に入ってしまうことも一つの原因です。
痛みがひどいため目のあたりを前足でさわったりどこかにこすりつけたりするので、波がが出たりまぶたが腫れてしまうこともあります。 軽いうちは、注射が目薬また、内服薬でおさまるのですが、悪化すると外科的に処置を行います。
治療は、病気が軽いときは食餌療法と定期的な運動で肥満を解消させることができますが、病状が悪化するとインスリンの注射や避妊手術などを行う場合もあります。糖尿病は発見も困難ですが、発病すると完治が難しいです 。
- 白内障は目の水晶体(レンズ)が白く濁ってしまう病気で悪化すると失明する恐れがあります。そのため、早期発見、早期治療が大切です。しかし傷みもなく、徐々に進行するので飼い主さんには気づきにくい病気です。少しずつ視力が落ちていくので夜の散歩の時などで物にぶつかりやすくなったら要注意。 白内障は治療をしなければどんどん進行していきます。水晶体がほとんど濁ってしまうと手術しても手遅れになってしまいます。薬で水晶体の白い濁りを取り除くことはできませんが、初期段階であれば進行を抑えることはできます。また、水晶体の濁りが3分の1か2分の1の段階であれば手術によって水晶体を摘出する方法もあります。完全に見えるようになるわけではありませんが、視力・視覚も回復します。